たばこ一箱を3000円に
先月末、朝日新聞に面白い記事が載っていた。
「1箱500円なら『吸わない』過半数」という記事で、全国の男女9400人にネット上でアンケートを行ったところ、そのような結果が出たといった内容だった。
その中で僕が注目したのは、「禁煙を決意する(1箱の)値段」という質問の中で、「いくら高くなってもやめない」という人が11%もいたことだった。
よくたばこを擁護する側が用いる論として、「たばこは重い税がかかっているんだから国の税収に貢献しているではないか」というのがある。
JTのHPによれば、たばこには一箱の売値を300円とした場合、189円の諸々の税金が含まれているという。全体の63%が税金というわけだ。そして税収は2兆2400億円(H17年度)に上るという。
これだけ見ると、なるほど確かにこの税収はバカにならないな、と普通の人は思ってしまうだろう。だが、果たして本当にこれだけの「純利益」が生じているのだろうか。
ここで違う視点から見てみよう。たばこによる社会的損失はどれくらいかという問題である。損失というのは喫煙が原因となる直接的・間接的な健康被害や、仕事中に喫煙することやニコチン切れで落ち着かなくなることなどによる労働生産性の低下、たばこの火の不始末による火災などのことを指す。これは色々な試算があるが、大雑把に言って大体5兆6000億円ほどとみられている。(参照リンク:たばこの経済学、「たばこは国家財政に貢献している」という話は本当か)つまりたばこは差し引きで3兆円以上もの赤字を生んでいるのである。貢献などというのはとんだ嘘っぱちなのである。たばこは純粋な害悪なのだ。
しかしだからといって輸入も製造も販売も使用も完全禁止!ということに出来るかというと、これはかなり難しい問題だ。もちろんそれが望ましいのだが、たばこ擁護派には政府や財界のお偉いさんたちが大勢含まれているはずだから、いくら害が明らかで市民がたばこ排除を訴えたとしても、中々重い腰を上げてはくれないだろう。どうせ「税収」を盾にしてくるに違いない。
そこでその税収を逆手にとってやろうというのが、僕の提案なのである。
ここでさっきの、たばこが「いくら高くなってもやめない」という人が11%いたという部分に注目したい。彼らが本気でそう思っているなら、たばこの値段が10倍になっても、単純に考えて300円から3000円になってもやめないということになる。反対に今吸っている人の89%は吸うのを諦めることになるということだ。これはたばこを守りたい側にとってどういう影響を与えることになるだろうか?
一人で現状の10人分の額を支払ってくれるなら実質的に収入額は変わらないし、もしかしたら増収にもなるかもしれない(たばこにいくらでも払っていいという金持ちは高いたばこを買っているはずだ)から、製造者であるJTは文句を言えないだろう。税収を守りたい国や自治体にとっても税額自体は変わらないことになる(ただ金持ちの多い都会と地方とで偏りが生まれるので地方税を国税にかえて再分配したほうがいいかもしれない)。愛煙者と呼ばれる人たちも、半数近くは「すぐにでも禁煙したい」と思っているし、8割の人は近年の禁煙意識の高まりで「吸いづらくなった」と感じていることから、大方はやめれるものならやめたいと思っているようだから、経済的に厳しいと思ったらこの際きっぱりやめてしまえばいい。日本人なら、周りの喫煙仲間が「やめる」といえば自分もやめようかなと思ってしまうものだ。そもそも吸いたいという感情はニコチンによる中毒症状でしかなく、本心から望んでいるものではないのだし、たばこの「効用」として考えられているものは、非喫煙者の平常状態に戻るということでしかない。喫煙に成功すればみんな「やめてよかった」と思うはずである。
このように擁護派には反論の出来ないことが分かる。
一方たばこによる損失はどうなるだろう?
これはあまり単純に考えられるものではない(ガンなどの病気は長年の蓄積により発症するものだからだ)が、徐々に減っていくと考えられ、長い目で見ればやはり10分の1程度にまで抑えられると思われる。これは単なるお金の損失が減るという以上に、それだけ人々の命がムダに失われずに済むようになるということでもある。
つまりたばこの額を10倍にすることは、「メリット」を残して、デメリットを小さくする効果をもたらすのだ。
僕はたばこを今まで1本も吸ったことがないし、これからも吸わないつもりだが、それが自然で当たり前なことという社会にしていくためにも、たばこがもっと値上がりすることを日々願っている。
- [2008/06/03 21:00]
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